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Sweet Child O' Mine.
Romancing SaGa -Minstrel song.-

17. Canned Heart.

 食堂へ行くと、すでにゲラとクローディアは食事を摂っている最中で、アイシャはメニューとにらめっこをしているところだった。

「おいゲラ、なんでこいつ寄越したんだよ。やかましくって適わねえ」

「ジャミルさんが率先して起こしに行くと言ってくださったので。……どうしましたかその顔」

 ゲラはジャミルの少しだけ赤く腫れた頬を見てやや驚いている様子だった。

「どうもこうもねぇ。アイシャに殴られやがったのよ」

 俺はカカカと笑って赤毛の隣にどっかと座る。アイシャはジャミ公のツラを一瞬睨んでフンっと向こうを向いてしまった。

「すぐ起きないから悪いんだろー」

 まだ不機嫌なアイシャを見てジャミルは不貞腐れたような顔をしながらクローディアの隣に座った。クローディアは静かに魚料理を食べていたのでジャミルは何気なく「それうまいかー?」と尋ねた。するとクローディアは「ええ、とっても美味しいわ」と必要最小限の答えを返す。

「どんな味付け?」ジャミルが興味津々で問いかけると、「ハーブよ。これはローズマリーね。それと黒胡椒がよく効いているわ……。お魚を食べるのは初めてだけど、美味しいわね」と、詳しく料理の味を答え始める。「じゃあオレもそれもらおっ」とジャミルは上機嫌で注文を取り始めた。

 赤毛は「あたし鶏肉とお野菜のフリットとスープねー」などと頼み俺は魚のソースがけなどと、まあそんな感じで各々のメニューを注文し適度にくつろいでいると、またジャミ公がやらかした。アイシャのフリットを「さっきのパンチのお詫びに貰っとくぜー?」と無断で取ったりするもんだから、赤毛は「もー、いいってまだ言ってないのに勝手に取らないでよ!」と騒ぎ出す。なんだこいつは、女をからかうのが趣味なのか?

「食事ぐらい静かにやれねえのか!」と俺が一喝すると二人は黙ったが、アイシャは口を尖らせてジャミルを睨んでいた。(あんたのせいで怒られたじゃない)という心のつぶやきが聞こえるようだった。そのあともジャミ公と目が合えばイーーッとした顔をしたりと忙しい。全く騒々しいぜと思ったが、赤毛のこういう顔を見るのは初めてだったので意外と新鮮に映った。しかし全く、ガキが増えた気分だ。ほんとにあいつは二十二歳なのかよ。

 

 食事が終わるとクローディアが「私はもう眠いから休ませていただくわ」と言うので、二段ベッド三つある部屋を取っておいたからどこでも寝ろと言っておいた。というか「あれから寝てなかったのか」と何気なく尋ねると、

「ええ……海を眺めていると結構楽しくて、眠るのを忘れてしまったの。それに海鳥もよく話しかけてくれたし」などと言う。

「クローディアさん、鳥とお話できるの?」

 とアイシャは驚いていた。もちろんアイシャだけでなく全員少し驚いていたが

「別に鳥の言葉を話せるわけではないのだけれど、鳥や獣は自然と私に寄ってきて、色んな話をしてくれようとするの。幼い時から。少しなら動きや鳴き方で何を言いたいかわかる時があるわ」

 と言うのだ。そいつはおもしれえなあ、と俺が笑うと

「私にとっては普通よ。じゃあ、お休みなさい」と言って、スタスタと船室へと戻って行こうとした。

「鍵をかけるのを忘れないで下さいね」

 とゲラが言うと、クローディアは振り返り、にこりと微笑って頷いていた。

「なんかさあ、クローディアってゲラ=ハにはすごく態度が優しくねえ?」

 と独り事のようにジャミルが言う。それはなんとなく俺も思っていたことだったが

「私が、人間ではない……からでしょうか」

 と、当のゲラも少し不思議そうだった。

 

 昼間寝過ぎたのだろうか、そろそろいい時間なのだが瞼が一向に重くならねえ。まあ、到着には後二日あるのだし、そこそこに調整すりゃあいいだろう。ということで俺は夜の風に当たりながら甲板でスキットルの瓶の酒をチビチビと飲っていた。空は夜ながら快晴であり、月がよく見えている。ただ今日は何時もならふたつの月が見えているはずなのにアムトの月のほうがやたらでっかく輝いており、銀の月は新月となり姿を潜めているのだった。今日はアムトの日だったかあ?などと思いつつも、珍しく独りで踊るその紅い月を肴にして酒を煽る。

 するとそこへ、同じく眠れないのか赤毛が船室のほうからトコトコと登ってくるのが見えた。階段のある場所からは俺は影になり見えないので、声をかけようかとも思ったが。しかし偶にはあいつも一人で何か考えたいだろなどと思い、敢えて放っておくことにしたのだ。

 赤毛は俺のいる場所の仕切りがある反対側の甲板に歩いて行き、柵に手をかけると「綺麗だな……」と月を見上げてうっとりしていた。時間が時間のせいか、甲板には誰もおらず波と風の音だけがさんざめく空間の中で、赤毛は今なら誰にも邪魔されまいと思ったのか、突然声を殺してはいるが、ぽろぽろと涙を零して泣き始めたので、俺は内心ぎょっとしてしまった。

「おじいちゃん……。みんな……。一体どこにいるの……」

 そんな呟きとともに、しくしくと極力声を抑えながらも聞こえる、しゃくりあげるようなアイシャの悲しげな声。

 ―ああ、こいつは今までもこうやって、誰にも知られないように陰で泣いていたのだろうか。そう考えると胸が詰まるような感覚を覚えた。いくら俺が一族の皆を見つけ出してやると約束をしたとしても、それとは別に、この広い世界にひとりきりで投げ出されたという絶望感と悲しみは他人には計り知れるものではないのだと思い知らされたような気分になった。俺のように、生まれた時から天涯孤独であるのとはまた訳が違うのだから。

 その時、そんな静寂を破るあの騒がしい男がまた姿を現しやがった。ジャミ公だ。あいつは甲板に佇む赤毛の姿を見つけると、「あー、いたいた。何やってんだよー?」と陽気そのものの声で話しかけやがる。するとその突然のジャミルの登場にびっくりしたのか赤毛は、大急ぎで涙を拭いて「何よ、ほっといて」と不機嫌な声をジャミ公に投げかけた。

「えっ……あ、な、泣いてたのかっ?」

 さすがのジャミ公も少女の涙には驚き狼狽えている。

「違うもん!」とアイシャは強がるが、その声は涙声そのものだった。

「あの、ごめん、もしかして俺のせい?」

 などとジャミルはあわあわとしながら話しかけるが、赤毛は海の方を向いてジャミ公には目もくれなかった。

「今日はいろいろゴメンっ。二度としないからさあ!」

 ついにはジャミ公は手を叩いて目の前で合わせ、拝むようにアイシャに頭を下げる始末だった。アイシャはずっと海の方を向いていたが、そんなジャミルがいい加減に可哀想になったのか

「……あたしこそごめんね。さっきは殴っちゃって。痛かったでしょ?」

 と落ち着きを取り戻した声でつぶやいた。その言葉に対してジャミルは

「へーきへーき!俺打たれ強いんだぜ、こう見えてもさ!」

 とおどけて見せると、アイシャはやっとジャミルに顔を向け、笑顔を見せたのだった。

「やっぱ女の子は笑ってたほうがカワイイぜ!クローディアもだけどさ、ムスッとしてたら可愛くない!」

 などと言い出すものだからアイシャは瞬間に笑顔を消して「誰のせいなのよ!もぉー!!」と突っかかっていく始末だった。

 二人共落ち着きを取り戻した後、二人はしばらく無言で紅い光を反射する海を眺めていたのだが

 「聞きたかったんだけどさ」

 と唐突にジャミルはアイシャに問いかけた。

「なんでアイシャはおっさんと旅をしてるんだ?不安じゃないのか?」

「不安って?」

 アイシャはそんな問いかけに首を傾げる。

「だって、おっさんとアイシャってあの時たまたま居合わせただけだろ。よく付いて行く気になったなあって」

 そう言われてアイシャはしばし何かを考えているようだったが

「なんていうのかなあ、これも運命なのかなあって、思っちゃったんだ」

「運命?」

 訝しむように、ジャミルが反問する。

「うん。別の言い方をしたら、神様のお導きかなあって。ホークさんね、私の村がもぬけの殻になっているのを知って、一緒に村のみんなを見つけ出してやるって約束してくれたんだ。その時、素直にホークさんにならついて行けるって思ったから、ついて行ってるの。不安とかはなかったよ」

 アイシャはニコリとしてジャミルにそんなことを話す。

「運命、ねえ。でもそうは言ってもおっさんと旅するって怖くないかい?」

「何が怖いの?怖くなんて無いよ?ホークさんすごく強いし優しいよ?」

「あ、いやー。うーん。ま、いっか!」

 マジにキョトンとしているアイシャの顔を見て、ジャミルは言葉を濁した。野郎、何考えてやがるんだか。まったく失礼な奴だぜ。

「けどジャミルさ、ジャミルが南エスタミルに居づらいって言って出てきたんだったら、ファラとかもやばいんじゃない?一緒に出て来られなかったの?ファラってジャミルの恋人なんでしょ?」

 と突然アイシャが『反撃』に出る。意図しているかどうかは別として。

「いやっ、ファラは別に俺の恋人とかじゃねえよ、妹みたいなもんだって」

「そうなのー?ファラはすごくジャミルのこと信頼して絶対に助けに来てくれるって信じてたから、てっきり」

「違うって!俺はあいつと小さい頃から兄妹同然に育ってきたんだから、その、女としては見てねえよ!」

 と明らかにムキになって反論している。そんな自分にはたと気づいたのか一息ついてからアイシャの質問に答えた。

「あいつ、あんな街でも出るのは嫌なんだとさ。ファラのおふくろが今更街を出ても生きていく自信がないって言うし、そうするとファラもそんなおふくろを置いて自分だけ出ていけないんだと。まったく……。散々説得したのに結局行かないと言うから、俺だけで出てきたのさ」

 アイシャに背を向け、忌々しそうに腕を組む。

「そうなんだ……心配だね」

 アイシャは同情するようにジャミルに声をかけると

「まあな。今回報酬が入ったら一度戻らないと。今までずっとファラんとこに稼ぎの一部を渡してたからな。そうしないとファラんとこは暮らしていけないんだよ。街を出ればまともな職にありつけるかも知れねえのにな。バカだよ」

「そうなんだ……。見かけによらず偉いんだね、ジャミルって」

「見かけによらずってのは余計だろっ」

 言葉とは裏腹にジャミルはハハハと陽気に笑うと、アイシャも釣られて笑っているようだった。

「けどどうしてそんなにファラのお家のことを助けるの?やっぱりファラが好きなんじゃないのー?」

 アイシャはしつこく食い下がる。アイシャの中ではどうしてもあのアムト神殿の中での二人が兄妹というよりは恋人に近いような感じに思えてならなかったから。特にファラの涙はそのように感じるに十分なものだった。

「あのなあ。何度も言うけどファラってのは俺にとっては家族なんだ。家族がピンチなら助けに行くのが普通だろ?」

「家族?」

 ジャミルの言葉を聞き、一瞬自分の村の人達のことを頭をよぎらせる。

「そう。俺は元々みなしごでさ。小さいころは一応孤児院みたいなところに拾われて育ったんだけどそこもひどくってさ。だから一番仲の良かった一個下のダウドって奴と施設から八歳の時逃げ出したんだ。で、あの街にたくさん物乞いの子供いただろ?あんなことして俺たちも何とか食ってきたんだよ」

 意外にも壮絶な幼少期を持つジャミルの話しに、アイシャはしばし圧倒されている様子で聞き入っていた。

「で、九歳の頃かなー?店でかっぱらいをしたら運悪くそこの店主に見つかってさ。俺とダウドはボコボコにされたんだけど、死にそうになってた所を助けてくれたのがファラの親父さんさ。ファラの親父は当時反盗賊ギルドの一派のリーダーみたいな人でさ。ギルドに加担せず盗みをしている子供には優くて色々教えてくれたり面倒見てくれたりしたんだ。筋が良かった俺は親父さんに気に入られて、本格的な盗みのテクや戦い方を教えてもらったりして家に頻繁に出入りしていたから、そんでファラとは兄妹みたいに育ったってわけさ」

「…………」

 アイシャは、あまりにも自分の生きてきた世界とかけ離れたジャミルの境遇に絶句しているようだった。

「で、その親父さんは三年前に死んじまったんだけど、その後は俺がファラの家の面倒を見ることにしたんだ。だって当然だろ、散々世話になったんだからさ。そんなファラがピンチだったら助けに行く。当然ってこと。わかった?」

「う、うんっ……」

 言いながら、アイシャは涙をポロポロとこぼしていた。それを見てジャミルは驚き戸惑いながら「な、なんで泣くんだよっ?えっ?」と慌てた声を上げている。

「だって、だってなんだか感動しちゃったの……」

 と言いながらも更に新しいしずくを零すアイシャに対しどうしていいか分からないジャミルだったが

「お前よく泣く奴だなあ。前もファラんちで泣いてただろ」

「……それ、ホークさんにも言われたことある」

 アイシャは涙を拭いながら、何故か悔しそうな声色を上げて言う。

「どうして赤の他人のことでそんなに泣けるかわかんねえよ。まあ、俺なんて自分のことでもあんまり泣く事ないけど。あれっ、いつだっけ最後に泣いたの。もしかして赤ん坊の頃が最後かも知れないな!ハハハ」

 相変わらずおどけた口調でなんとか場の空気を変えようと必死なジャミルだったが

「……。あたしね、さっき泣いてたのはね、いなくなった村のみんなのことを考えて泣いてたの。だから、ジャミルの話に共感しやすかったのかも」

 と、アイシャは懸命に涙を拭いながら話す。その時ジャミルはふう、とまるで諦めたようなため息をつくと、

「そうかー……。まぁそうだよな。アイシャも大変だなぁ一人ぼっちになって」

 と、漸くアイシャの気持ちを理解するような言葉を口にした。

「一人ぼっちじゃ、ないよ」

「え?」ジャミルはアイシャの顔を見る。

「だって、ホークさんがずっと一緒だもん」

 そう言うとアイシャはニコッと笑った。ジャミルは、少女のその言葉と笑顔に何かを感じ取った様子で、ゆっくりとアイシャに顔を近づけると、その耳元で小さく何かを囁いた。俺には聞こえなかったがジャミルは赤毛の耳元で

「……なぁ、アイシャってさ、もしかしておっさんのこと好きなの?」

 と言っていたのだ。アイシャは何故小さな声で耳元でそんなことを聞いてくるのか怪訝に感じたようだったが、質問には素直に「うんっ。大好きだよ!」と弾んだ声で答えた。俺はジャミ公の質問が聞こえなかったものだから、ハァ?何が大好きだって?と訝しく思っていたのだが、更にジャミ公はアイシャの耳元で小さな声で囁く。

「じゃあさ、もしかして、もうキスとかしてたりするわけ?」

 などと聞いていたが、相変わらずその声は俺には届かない。当のアイシャはそんなことを耳元で言われた途端、「キッ……、キ、キ、キ……!!!??」と素っ頓狂な声を上げて顔をアムトの月に負けないほどに真赤に染め上げて目を見開く。そして

「何言ってんのーーー!??そんな訳ないじゃないのーーーー!!!んもーーーーーーーー!!!」

 と再びアイシャのパンチがジャミ公の顔面に炸裂していたのだった。

「うごお!」

 派手にパンチを浴び倒れるジャミルをそのままに、赤毛はその場を走り去る。勢いづけて甲板の反対側まで走ったものだから、そこに俺がいることに気づかれてしまった。赤毛は俺を見るなり手を口で抑えて「やだああああ!!!」と泣きそうな声を上げながら顔を真赤にして再び走り去り、客室まで降りて行ってしまったのである。

 何だ何だ、何が嫌なんだ?俺は全く訳が分からなかったが、全ての元凶はあのジャミ公だろうということで、甲板で藻掻いてるあの野郎の側までつかつかと歩み寄った。

「げ、おっさん居たのかよっ」

 ジャミ公は俺の顔を見ると驚いた顔をしていたが、「立ち聞きとか趣味悪いなあ!」などとぬかしやがるので、

「お前らよりここに先に居たのは俺なんだよ。文句あっかコラ。それよりてめえアイシャに何吹き込みやがった?」

 とあいつの尖った耳を引っ張ってやった。すると

「やめろやろやめろ!!!耳だけは本当にやめろ!!!!」

 と、普段のジャミ公からは想像できぬような鬼気迫るような声が響いたので俺は少し驚き、手を離した。

「何だってんだ、大げさな奴だな。そんな引っ張ってねえだろ」

 俺が訝しく思いそう告げると

「……小さい頃から何かといえばこの耳を引っ張られて来て、人に耳を触られるのだけ本当に嫌なんだ……」

 などと涙目になりながら言うもんだから、俺は「そうか」と肩をすくめるしかない。しかし耳は勘弁してやるが「で、アイシャに何言ったんだ?」と俺は追求をやめることはなかった。 

「……別に?場の空気が重くなりそうだから和む冗談を言ってやっただけだぜ」

 ジャミ公はいつものイタズラっぽい顔に戻るとそんなことを言うので、

「フーン?そいつあどんな冗談だ」

 と更に問い詰める。するとジャミ公はしばし何かを考えるような顔をして

「アイシャはかわいいなって話をしてただけだよ」

 といたずらっぽく笑うとあのすばしっこい動きで走って船室に逃げ込まれてしまった。

 ちっ、まるでネズミだな。

 しかしなんでそんな話から俺が嫌だなんて話になるんだ。絶対嘘ついてるだろう、あいつ。忌々しく思いつつも、俺は残りの酒が無くなるまでしばらくそこにいることにしたのだった。

 

 一方アイシャはと言うと、あれから真っ直ぐ船室に戻ると鍵を開けてベッドに潜り込んでいた。もう今日は寝て忘れてしまおうという魂胆だったが、静かなベッドの中でジャミルに言われたことをついつい反芻してしまい、その度に全身が身悶えするような感覚に陥ってしまう。じたばたすると他の人に変に思われるので毛布の中で精一杯変顔でもして気を散らすしか無い。

 もうっもうっ。なんであんな人仲間にしちゃったんだろっ。その決定をしたのはホークさんだし、今度の『仕事』のためには仕方ないことなのはわかっているんだけど。

 ―だいたいキスなんて、もしもあたしが望んだとしてもさすがに相手にしてくれる訳がないよ。

 そう考えると、胸にあの痛みが蘇った。ウソの夜にも感じた、あの胸に広がるじわりとした痛み。何故かアイシャは突然泣きたくなって、毛布の中で誰にも悟られぬよう瞳からしずくを零したのだった。

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Last updated 2015/7/15

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